中国本土には上海と深セン、北京に証券取引所があります。1990年8月に深セン証券取引所が、同年11月に上海証券取引所が設立され、2021年には新たに北京証券取引所が設立されました(北京証券取引所は海外の個人投資家が取引することはできません)。
上海と深センの両市場には、A株市場、B株市場と呼ばれる取引形態の異なる2種類の株式市場が存在しており、それぞれ特徴があります。中国企業の発行するA株、B株は、同一権利、同一額面の株式で、株主の権利という点では差がありません。例えば、深センに上場している張裕ワイン(A株コード:000869、B株コード:200869)はA株とB株の両方を発行していますが、株主の権利は同じです。
上海と深センのA株市場は、株式は人民元で取引されます。かつては中国本土の投資家のみが投資できる市場でしたが、2002年11月に、適格海外機関投資家(QFII)制度の導入で、外資のA株取引が部分的に解禁されました。また14年11月には、個人が滬港通を通じて上海のA株の一部に投資できるようになり、16年12月には深センA株も部分的に解禁されました。
B株は、上海市場では米ドル、深セン市場では香港ドルで取引されています。B株市場はもともと、「人民元を自由化しない条件下で、外資を導入したい」と考える中国政府の策として創設された市場です。市場を全面開放するのではなく、部分的に取引を行なえるようにすることで、海外マネーの流入を図ったのです。2024年7月18日現在の上場企業数は上海と深セン合わせて84社。その約9割が同時にA株も発行しています。
ただし、B株市場の上場企業数はA株市場で上場する企業の2%程度にとどまっていますから、B株はA株に比べて規模の小さい市場です。中国国内の個人投資家にB株取引が開放された2001年2月には、大量の資金がB株市場に流れ込み、多くの銘柄が暴騰しました。
各市場の対象投資家と取引通貨
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取引通貨 |
中国国内投資家 |
海外個人投資家 |
海外機関投資家 |
上海市場 |
A株 |
人民元 |
○ |
△ |
△ |
B株 |
米ドル |
○ |
○ |
○ |
深セン市場 |
A株 |
人民元 |
○ |
△ |
△ |
B株 |
香港ドル |
○ |
○ |
○ |
北京市場 |
A株 |
人民元 |
△ |
× |
× |
○・・・取引可能、△・・・取引に制限あり、×・・・取引不可
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●A株市場: | 中国国内の投資家と条件を満たした海外の機関投資家が取引でき、一部の銘柄については海外の個人投資家も取引できる |
●B株市場: | 中国国内の投資家と海外の投資家が取引できる |
A株とB株は、中国企業が発行する同一権利、同一額面の株式